
診療費改定
H18年4月1日から医療費公費負担制度という通院費が5%になる制度
が変更されます
現在煮詰めの作業中ですが、おおよそ次のようになりそうです
書類と実際は微妙に異なるので各医療機関に相談してください
1、自己負担額を5%から10%にする
※収入によっては対象になりません
また住民税を指標にした所得に応じて負担に上限を定めた複雑な内
容になりました
2、自立支援医療給付という名称になる
3、対象を統合失調症、狭義の躁うつ病、難治性てんかんの他臨床経験3
年以上の医師が認める患者全てとする
4、支給の有効期限が2年から1年になる つまり1年毎の更新が必要に
なる
※診断によって対象が狭められるところでしたが、医師に3年以上の
臨床経験年数があれば、実際にはほぼ現状維持になりました
※一方で滋賀県は2級以上の精神保健手帳の所持者は、精神科外来医
療費の自己負担が0%か一律に月500円になっています
そもそも通院医療費公費負担制度が導入されたのは、1965年=昭和40年
ですが、医療は社会の安全を守るためのものという側面を大きく有してい
ました
この制度の見直しは、医療費削減の国家的懸案という大きな流れの中で起
こっていることですが、私には、自傷他害の怖れの大きい患者に対には多
額の予算を割き、それ以外の医療にはわずかの予算しか割いてこなかった
医療政策の域を脱していないことに由来すると思えます
社会的に危険な患者に対しては、保護観察法などの新設で対処できるとす
ると、この通院費の軽減制度は存在価値が少なくなります
医療報酬の削減
その延長上に、近じか通院精神療法などの診療費削減案が予定されてい
ると聞きます
「雑記2」の「こころの値段」というタイトルで書きましたが、ここではもう
少し細かく書きます
新患の方は看護師の予診も含めると1時間〜1時間半くらいかかります
私の診察だけでも30分〜60分くらいかかります
そうすると再来患者さんを診る時間が制限されます コンスタントに30
分くらいかかる患者さんを2〜3人診ると、他の患者さんに皺寄せが行き
ます それで心理士に来てもらっています
そのための保険は無いので、カウンセリング料は無料です
新患数を抑えていますが、今後患者さんの数は増えるでしょう そうする
とおそらく今のところ妥協してくれている患者さんにも不満が多くなって
くるでしょう
その分看護、心理士、PSWなどのマンパワーの増加で医療サービスをむ
しろ向上させていきたいと考えているのですが、その計画を見直さないと
いけなくなりそうです
もし30%の精神療法費削減が実施されると、私一人の稼ぎで他のスタッ
フを雇用していく余裕なんてなくなるでしょう
しかしいったい騒ぐほどに儲けているところがどれだけあるのでしょうか
むしろ元々のこころの値段が安いので、今が儲けすぎとか、金の掛かりす
ぎという判断になるのではないでしょうか
いつか一人一人の患者さんとゆっくり語り合える、症状だけではなく背景
にある人生、生活、人間関係などを語りたい患者さんには、遠慮しないで
時間を確保できる、一人一人の治療について患者さんと模索する医療を夢
見て来た私には、またかという気持ちです
※できるだけ多くのかたの診療依頼に応えるべきだという考えと、少数の患者を丁
寧に診るべきだという考えが対極にありますが、どちらが正しいとは言えないこ
とです 私はその地域のニーズに応じるバランス感覚が大事と思います
しかし悲観ばかりはしていられません 少しでも悪化しないように、皆に
一緒に頑張って頂きたいものです
そして少しでも良い医療環境が提供されることを願いたいものです
勿論私は可能な限り質の高い医療を提供する工夫をします
※幸いにも18年4月からの通院精神療法の逓減はわずかでした 関係者の努力が
あったようです しかし今後安心はできません
またサービスの一部負担金の額が細かく分類されるようです しかし考え方自体が
おかしいのです 自立支援(しえん)法ではなくて自立できん法です
