9月21日(水)はれ
経営の神さまは「社員・ユーザーは神さまです」の精神に宿る!
-マスコミ賑わす京都が生んだ経営者二人の「モリ」-
8月24日に京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が老衰のため亡くなられた。享年90歳でした。
稲盛氏は、1959年に京都セラミックを創業し、ICパッケージで業績を拡大し、通信事業自由化で携帯電話事業に進出し現代のKDDIを創業、発展させました。
また、経営破綻した日本航空(JAL)再建のため、会長に就任し16、000人のリストラを断行し、再建を果たしました。
稲盛氏の死去に際し、同氏の経営哲学についてマスコミで大きく取り上げられ、1代で1兆円企業を築いた経営手法が話題になっています。
一方、モーター最大手、日本電産の永守重信氏の後継者問題がマスコミで大きな話題となっています。
永守氏は、1973年に同社を創業し、パソコンのハードディスクドライブで急成長し、経営困難に陥った企業のM&Aで1兆円企業に成長させました。
2020年に日産自動車の副社長だった関潤氏をヘッドハンティングし、昨年、社長に就任させましたが、1年足らずで解任し、創業メンバーの小部氏が社長に就任しました。関氏の解任理由は、株価の低迷だそうです。
日本電産の後継者については、これまでにもさまざまな大企業の役員をヘッドハンティングして後継者として育てようとしてきましたが、ことごとく失敗しています。
日本電産の永守氏の後継者問題は、マスコミでも大きな話題になり、いろいろな見方が行われていますが、永守氏の強烈な個性に伴う経営手法が、他をもってはなしえないところにあることです。
稲盛氏については、死去されたこともあり、ネガティブな取り上げ方はなされずに名経営者としての扱いになっています。
私たちは、整理解雇されたパイロットやキャビンアテンダー165名が解雇無効を訴えて裁判闘争を行ったJAL争議を支援し、ことあるごとにJAL会長の所属会社、京セラに要請行動などを行ってきました。
しかし、稲盛氏は、解雇撤回を訴える165名の声を聴くことはありませんでした。
稲盛氏の著書「経営12カ条」の11条「思いやりの心で誠実に」〜商いには相手がある。相手を含めて、ハッピーであること。皆が喜ぶこと。〜とあります。
稲盛氏は、争議団との交渉で、16000名のリストラについて「必要なかった」との趣旨の発言を行ったと、いわれています。
国鉄民営化やJALの経営再建については、国家政策と切り離すことができない事情があり、政権の圧力があることは間違いないことでしょう。
とりわけ、かっての国鉄(JR)やJALのような巨大企業で交通インフラを支える企業として、ストライキを行う闘う組合の存在は、政権としては何としても潰したい存在だったでしょう。
そのような圧力をはねのけ、一人の犠牲も出さずに、社内にはびこる悪弊を克服し黒字経営に転換させてこそ、真の「経営の神さま」ではないでしょうか。
日本電産の永守重信氏は、京セラ稲盛和夫氏に対して強い信奉とライバル心を持っており、桂川をはさんで東西に対峙して市内最高の90m高さの本社ビルを建て、病院などに多額の寄付を行って、名前を冠する施設を残す、科学・技術開発功労者への表彰制度の創設などを行っています。
JMITUは、両社や関連会社の労働者からの相談を受けて、組合結成し団体交渉も行ってきました。
二人の「モリ」が、真の経営の神様となるために、ストライキを行う労働組合に偏見を持たずに向き合い、問題の奥底に潜む思いを抱く労働者の声なき声をしっかりと聞き、問題解決に向けて少しでも歩み寄るこころを、社内の隅々に広げることだと考えます。 |
下 週刊誌を賑わす二人の経営者「モリ」氏記事 |
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