最近の労働相談の事例紹介
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*P社(正社員、62歳・男性)
会社のパソコンを就業時間中に私的使用して解雇されるのは仕方がないか

 金属加工会社P社に定年後再雇用で働いていたCさんは、会社の問題点について社長に意見を述べた処、会社のパソコンで就業時間中にアダルトサイトを閲覧したり、私的な文書作成を行なっていたことを理由として無期限の自宅待機処分を言い渡され、会社がCさんの言い分を聞いた上で懲戒解雇する方針であることを知り、労働局に相談したところ労働組合に加入して交渉することをアドバイスされました。
 早速CさんはJMITUに加入して「自宅待機処分の撤回」を要求して会社と団体交渉を行いました。
 JMITUは団体交渉で、Cさんが就業時間中にパソコンでアダルトサイトの閲覧や私的文書の作成を行ったことは事実であることを認めたが、その行為によって会社にどのような損害があったのかを正した処、会社は損害については確認することが出来ませんでした。
 そこでJMITUは、就業時間中に会社のパソコンを私的なことに使用したことは間違いであるので、『始末書』を提出して、今後このような行為を行わないことを約束したうえで、Cさんがパソコンの私的使用を行なっていることを黙認しながら、問題点を指摘した途端に、突然その事を問題にして懲戒処分したことは、会社の報復処分であることを主張して無期限自宅待機処分を撤回し給料を支払うことを求めました。
 交渉の結果、Cさんは会社都合で退職することにはなりましたが、再就職活動期間中生活出来る給料相当分を支払ってもらう事が出来ました。
 労働者側にも落ち度があり懲戒処分がやむを得ない場合でも、よほどの事がない限り『解雇』という最も重い処分を受けることは許されません。今回は処分を言い渡されてからの組合加入でしたが、就業規則に照らして処分が妥当かどうか交渉できました。問題が起こる前に労働組合へ加入することが大切です。
 
*O社(派遣、日系ブラジル人・女性)
退職するときに残った有給休暇分の賃金を支払ってもらえるか

 日系ブラジル人で派遣で働いていたBさんは、派遣会社のM社と6カ月の労働契約を結びO社に派遣されて製品の検査を行っていました。
 Bさんは、契約期間を3ヶ月残していましたが、会社から「無断欠勤が多い」という理由で契約期間途中の契約解除(解雇)を通告されました。
 Mさんは、以前同じ日系ブラジル人労働者の友人がJMITUに加入して問題を解決したことを知っており、友人に相談しJMITUの電話番号を教えてもらって加入しました。
 Bさんは、派遣会社を辞めることは決めていましたが、「無断欠勤が多い」ことについては納得出来ず、また有給休暇を18日残しているのでその分の賃金は支払って欲しい、というのが要求でした。
 組合ではBさんの要求で会社と交渉した結果、「無断欠勤」については、言葉の問題で会社の規則が充分に伝わらずに行き違いがあり、連絡せずに休んだことはないことが明らかになり、会社都合による退職となりました。また、解雇予告手当相当として1カ月分の賃金が支払われました。
 有給休暇の残日数の買い上げについては、退職を前提にした場合において、労働者が仕事で有給休暇使用の権利が行使出来なかった場合その分を買い上げることは認められるので、10日分の賃金が支払われました。
 やむを得ず、有給休暇を残して退職せざるを得ない状況でも、労働組合に加入しておけば、会社との交渉で残日数の賃金分を支払ってもらえる場合があります。(2017年5月)
 
*U社(正社員、40歳・女性)
多数の従業員が賛成した就業規則変更による契約社員化はやむを得ないか

 
工具販売会社U社で正社員として働く女性労働者Dさんは、数年前にJMITUに一人で加入して賃上げやボーナスなどについて、労働組合の役員に参加してもらって交渉を行ってきました。
 会社は、「従業員のマンネリ化を打破してやる気を引き出すため」として、営業職を除く一般職の労働者を1年契約の有期雇用契約にする就業規則の変更を提案しました。この会社の組合員はDさんただ一人で、就業規則の変更や残業時間の労使協定(36協定)の署名は従業員代表が行なっていました。
 従業員代表が一般職の有期雇用契約社員化の就業規則変更に署名し、Dさんにも契約社員になることを会社は通告しましたが、Dさんは納得出来ず、従来通りの正社員で働くことを要求して団体交渉を行いました。
 会社は、契約社員になれば、給料を2万円引き上げること、よほどのことがない限り契約更新は行なわれることを主張してDさんにも契約社員になることを求めました。
 しかし、Dさんと組合は、「契約社員になったら緊張感が生まれ頑張る」理屈に無理があり、労働者がモチベーションを持って働くためにはまず会社が労働条件を良くすること、管理職が部下の能力を引き出し、向上させることが求められること、会社の将来展望を示すことが不可欠であることなどを主張しました。
 労働基準法や労働契約法では、労働条件の変更は労働者と使用者が対等の立場で話し合い決定することが決まっている事を主張して、一般職では組合員のDさんただ一人が従来通りの正社員として働くことになりました。そして、これまでなかなか実現しなかった、ベースアップも実現しました。
 就業規則による労働条件の変更は、その手続きが正当に行なわれている(従業員選挙で選ばれた従業員代表か過半数組合代表者の署名がある変更届けを労基署に提出している)こと、変更された就業規則が充分に周知徹底されていること、そして、変更内容が社会的に認められうる内容であることが必要です。
 就業規則を変更したら何でも出来るものではありません。会社が決める内容が自分に不利益になりそうだと思ったら組合を通じて会社と交渉することです。そして納得出来ないことにはハンコは押さない、同意しないことが大事です。なにより重要なことは1日でも早く労働組合に加入しておくことです。(2017年3月)
 
*T社(正社員、51歳・男性)
出向配転は業務命令として無条件で従わなければならないか

ゲームソフト製作T社でゲームデザイナーとして働いていたAさん(51歳)は、東京の子会社に出向(籍は会社に残して出向先の業務命令に従う)ことを命じられました。しかも、数年後には出向先への転籍(雇用先や労働条件が変わる)することになると言われました。
 Aさんは、高齢で難病の父親がおり、月に何回か親元に帰り家事をしたり、話相手をする事で看病している母親の負担を減らす物心両面での援助を行っていました。
 このような事情を会社に伝えて東京の子会社への出向と将来の転籍については「出来ない」とはっきりと断りましたが、会社は、「業務命令違反」として「自主退職」を迫る退職勧奨をしつこく行ないました。
 Aさんは、このままでは退職せざるを得なくなると考えて、法律事務所に相談をしたところ担当弁護士から、労働組合に加入して会社と交渉することをアドバイスされ、JMITUに加入し、「出向命令を取り消し京都で勤務させること」を要求して会社と交渉を行いました。
 組合は、東京に出向すれば親の介護に大きな支障が起きるのは明らかなのに、出向を強要することはパワーハラスメントで許されない、京都で勤務しても子会社の業務をすることは可能であること、などと主張しましたが、Aさんを何としても退職させたい会社は、譲らず交渉は難航しましたが、労働委員会のあっせんなどを行った結果、Aさんの希望通りの条件で会社都合の退職となりました。
 業務命令であっても労働者の側に相当の事情があれば、別の人に変更できないか、勤務の在り方などを会社と交渉すれば労働者に有利な条件を実現することは可能です。(2016年8月)
 
*R社(正社員、53歳・男性) パワハラ・退職強要・賃下げ、団交で解決
 関連会社に転籍したSさんは、転籍6ヶ月くらいから、取締役である上司から、他府県の関連会社に転籍するように打診されましたが、生活上の問題で転籍できないことを告げたところ、開発中の機械を短期間で完成させるように業務命令を受けました。この機械は、開発者もてこずっていた機械でしたがSさんは、データーを集めて、上司とも相談しながら改良を重ねましたが、期間内では完成させられませんでした。
 上司は、Sさんに対して「いつまでかかっているんだ。そんなことなら技術職でなくなるぞ!」と脅迫的言動のパワハラを行いました。
 Sさんは、精神的にも不安になり、知り合いだった関連会社のJMIU組合員にパワハラについて相談をしたところ、組合に加入し会社と交渉して退職強要・パワハラを辞めさせる決意しました。
 4月の賃金でSさんは1万2千円の賃下げとなったので「パワハラ防止・賃下げ撤回」の要求書を提出し会社と団体交渉を行いました。
 会社は、パワハラではなく厳しい業務指導であること、賃下げは正しい業績評価の結果だと主張しました。
 組合は、Sさんが克明に記録していた上司による人格を傷つける言葉を示して、業務指導にこのような言葉が必要か、と会社を追求し、事実調査を求めました。
 また、賃下げについても、会社が行った成績評価表に基づいて、「改善を行わない」としていることに対して、改善提案を行った記録をしめすなど、評価事実と違うことを確認させました。
 会社は、調査を行った結果、パワハラとは認めませんでしたが、業務指導に配慮を欠いた言動があったことを認めて、今後このようなことがおきないようにすること、業績評価については、間違いがあったことを認め、賃下げ分の差額を支払うことで解決しました。(2012年2月)
 
*K社(正社員、37歳・男性) 賃下げ・不当配転、府労委あっせんで解決
 機械製造会社に機械設計で中途入社したTさんは、入社2年目くらいから上司による退職勧奨が行われるようになりました。Tさんは、上司に対して「辞めません」と退職の意思がないことを表明し、JMIUの分会員に相談をしたところ、分会員から「組合に加入して団体交渉しないと退職勧奨はなくならず、退職せざるをえなくなる」とアドバイスを受けて、組合加入を決意しました。
 組合が、退職強要撤回要求書を提出したところ、機械設計業務から、清掃業務に配転させ、給料も3万5千円の減額を強行しました。
 組合は、配転および賃下げは組合加入を理由とする不当労働行為であるとして配転と賃下げの撤回を求めましたが会社は、あくまで業績評価に基づく措置であるとして要求を拒否しました。
 交渉が前進しないために、組合は京都府労働委員会に「配転・賃下げ撤回」を求めてあっせんを申請し、会社もあっせんに応ずることになり労働委員会であっせんがおこなわれました。
 あっせんの結果、賃下げは撤回し、差額についてはボーナスで支払う、配転については引き続き労使交渉でを行うことになりました。
 配転は、会社の受注状況もあり設計業務の仕事が忙しくなるまでは、資材管理の業務を行うことで、Tさんも納得し、決着することになりました。
(2012年6月)
 
*S社(正社員 、23歳・女性) 入社4日目で解雇、交渉し解決金
 
好きな道である映画関係の職場に入社し、早く仕事をおぼえて、がんばりたいと張り切っていた青年のIさん(女性)は、A社長から仕事のレクチャーを受けているとき、Iさんの言葉尻を捉え突然「明日から会社に来なくていい」と言われました。
 Iさんはネットで「京都労働相談センター」を検索して相談されました。相談員が社長に連絡してセンターでIさん、A社長、相談員の3者で話し合ったところA社長は「解雇はしていない。自宅待機」だと言って、後日出社するようにいいました。
 IさんはA社長に不信を持ち機械金属支部に加入されました。支部は、解雇に対して謝罪などを要求して団交を申し入れましたが、弁護士を代理人に立て団交日時を1ケ月以上後に設定するなど不誠実な対応を行いました。
 数日間の自宅待機後に出社したIさんに対して突然に「一人で大阪方面に営業に行け」と指示し、初めての地域でアポなし飛び込み営業に不安を感じたIさんはA社長にアポ取りなどのサポートを要請したところ激高し2度目の解雇を通告しました。
 組合は解雇の解決を求めて再度の団交を要求し、弁護士事務所で団交を行い、会社は解雇に対する遺憾を表明し解決金を支払うことで解決しました。(08年5月)
 
*S社(アルバイト・19歳・女性) 病欠・遅刻・早退すると罰金・休暇中に解雇
 
Kさんは、パチンコ店でコーヒなどをワゴンで販売する仕事を1年8ヶ月行ってきました。5月の連休に風邪をひき、会社に休暇の連絡をして1日休みました。2、3日休養して仕事をしましたが、身体の調子が悪くなったので、2時間だけ仕事をし会社に連絡して早退をしました。身体も良くなったので、仕事をするために会社に勤務シフトの要求をしましたが、Kさんには勤務シフトが、示されませんでした。Kさんは解雇されたと思い「京都労働相談センター」に相談を行い、相談員と会社を訪問し、勤務シフトを出すように要求しましたが、社長は自己都合による退職とした「離職票」を渡しましたが、Kさんは一度も「辞める」とは言っておらず、この「離職票」の記載は虚偽記載になります。また、この会社には、休暇・遅刻・早退に対して罰金を取る制度があり、また残業代が払われないなど労働基準法違反がまかり通っていました。さらにKさんが雇用保険の調査で区役所に行ったところ、市民税や社会保険料を払っていないことが判明し会社のあまりにひどい無法ぶり驚くばかりでした。
 Kさんは、機械金属支部に加入し、解雇の撤回、罰金の返金・残業代を要求して団交開催を求めました。また労働基準監督署に指導行うよう申告しました。労働基準監督署の指導で罰金の返済に応じることになりましたが、会社に取りに来いと言って組合との団交は拒否をしました。組合は、京都府労働委員会に団交開催と解雇撤回、罰金の返金・残業代支払いを求めてあっせんの申請を行い2回のあっせんで会社は解決金を支払うことました。また税金や、社会保険料についても遡って支払を行いました。
(08年6月)
 
*A社(正社員、32歳・女性) 休職中に解雇
 
Nさん(女性)は、ベンチャー企業で3DCG(コンピュータグラフィックス)のソフト開発の業務を行っていました。取引先から人物キャラクターの作成が出来れば、もっと販路を拡大出来るとの助言を受け、上司に専門校で人物キャラクター作成技術を取得したいと申し出て、社長も了解し授業料も、法人契約の方が安くなるので会社から借り入れる形で納付し入学しました。
 専門学校の通学は週1回ですが、1週間の課題が与えられてそれをクリアーすることが修了の条件となる方式で、その課題をこなすために会社の了解を得て仕事が終わってから会社のパソコンで課題をこなしていました。ところが上司のパワハラにより仕事を増やされて会社での課題遂行が出来なくされ、自宅で高性能パソコンを購入し休職して技術取得に励み、あと少しと言うところで社長から呼び出されて、3DCG事業部の廃止で解雇を通告されました。
 その解雇通告の時、借入金や税金などの他にも不当な返済金を求められたことで、労働相談センターに相談し、JMIUに加入しました。
 解雇一時金や年休の残日数分の支払などを要求し、3回の団交を行いましたが、解決しませんでしたので、京都府労働委員会に紛争の早期解決を求めるあっせん申請を行いました。
 8月20日に開かれた、あっせんでNさんも組合も納得出来る、あっせん案が示されたことで受け入れて、解決をすることになりました。
(08年7月)
 
*K社(パート、42歳・女性) 仕事上のミス理由に解雇
 
碍子などを作っている陶器製造会社で、2年間パートで働いていたSさん(女性)は、9月12日に突然社長に呼ばれて解雇を通告されました。理由は、会社の経営が悪化したこと、不良をつくったこと、上司のいうことを素直に聞かないなどでした。Sさんは、会社が悪いこともわかっていたので、「突然なので、せめて今年いっぱいは雇って欲しい」と頼みましたが、会社は受け入れずに10月10日付けでの解雇を行いました。
 解雇理由についてどうしても納得することが出来ずに、ご主人が仕事上で知り合いだった「ユニオン南の風」の藤本書記長に相談をされました。Sさんと藤本さんは、「京都労働相談センター」に相談をし、今回の解雇は、不当・不法解雇であり、組合に加入して「解雇撤回」を要求して、会社と交渉することにして10月1日にJMIUに加入しました。
 会社と4度の団体交渉を行い解雇撤回を求めましたが、主張が平行線で進展しないので京都府労働委員会にあっせんの申請を行いまし。3回のあっせんで実質的に、Sさんが希望していた12月までの勤務を含む解決金がしめされ解決をすることができました。
(08年10月)
 
*T社(派遣、55歳・男性) 派遣先での能率悪いことを理由に解雇
 
5年前から派遣会社Tで常用雇用形態の派遣労働者として働いていたUさんが、10月31日に会社から「11月30日付けをもって貴殿との雇用契約を終了致します。」との「解雇予告通知」を渡されました。
 Uさんは、この派遣会社から5年間の間に、6社の派遣先で働いていました。最近、働いていた派遣先のN社には、別の派遣会社の労働者がおり、この労働者からいじめの様な事があり、派遣会社の担当者に、改善を要求し「自分の技術が生かせる仕事ができる別の会社を紹介して欲しい」と訴えていました。
 今回の解雇にはこの様なUさんの状況が反映しているものと考えられます。機械金属支部では、Uさんと話し合って、「解雇を撤回すること」の要求書を会社にFAXしました。その日にUさんに、担当者から「新しい派遣先を紹介する。」と電話が掛かりました。Uさんは、紹介された派遣先に見学に行きましたが、自分の技術に会わないと考えて断りました。
 団交では、Uさんの仕事に対して派遣先から能率が悪いと言われていること、紹介した派遣先を断ったことから、本人が業務提供を拒否した事による「普通解雇」だと主張しました。組合は、本人が紹介先を断ったのは紹介がミスマッチだったこと、能率が悪ければ5年間も勤まらないことを主張して、整理解雇の4要件を満たさない不当解雇で撤回するように求めましたが、平行線となり、滋賀県労働委員会にあっせん申請を行いました。2回のあっせんが行われましたが、会長による就職先紹介の努力を求めるという内容のない、あっせんとなりました。
 Uさんは、労働審判で会社に解雇撤回を求める事にしました。
(08年11月)
 
*M社(正社員、58歳・男性)  仕事干し、工具隠しなどの嫌がらせの果てに解雇
 
Iさんは、年間無休を売り物にしたBMW専門の自動車修理工場で、朝の7時から夜の6時まで、休憩時間1時間を挟んで、毎日10時間働いていますが残業代が一切支払われていません。Iさんが3年前に入社した時は板金技術を持った労働者がIさんだけだったが、板金工の入社をきっかけに無理な仕事を指示するなどの嫌がらせが始まりました。そして1昨年8月突然給料を半分にされました。この問題は話し合いで元に戻されましたが、心配になり知り合いを通してJMIUに加入しました。無理な仕事の押しつけ、残業の強要、工具隠しなどの嫌がらせは続けられました。
 昨年11月に無理な仕事の押しつけから言い争いになり仕事の指示が全くされなくなり、しごとをさせること、残業代を支払う要求で団交を開きました。仕事については指示がされましたが残業代は入社時の約束で給料に含まれていると支払を拒否しました。
 その後、再び自宅待機処分を行い、抗議すると解雇を強行しました。
 組合は、自主交渉で解決を図りましたが、会社が不誠実な団交を行ったので、解雇撤回、残業代支払を求め労働審判を行うことにしました。(08年11月)
 
*K社(正社員、40歳・男性)  引き抜き転職後派遣先紹介されず解雇
 振動解析技術者のMさんは、別の派遣会社からヘッドハンティングされましたが、その会社が経営問題から、今の派遣会社に吸収されました。Mさんは、前の会社でも自分の技術が生かせない派遣先しか紹介されていませんでしたが、吸収をされた会社でも派遣先で仕事をすることはなく、会社で待機することが続く中で昨年12月に解雇通告がありました。Mさんは、以前の派遣会社の状況を不安に感じてJMIUに加入をしていましたので、解雇撤回要求で会社と団交を行い、新たな派遣先の紹介を行う事で一旦解雇は撤回されましたが派遣先が見つからないという理由で2月で解雇となりました。
 Mさんは解雇撤回と慰謝料の支払いを求めて労働審判を行う事を決意し現在準備中です。
(08年11月)
 
*N社(派遣、38歳・男性)  半導体製造ライン請負で解雇
 Nさんは、派遣会社のN社の期間社員として、同社が請け負っている大手半導体製造会社のLSI製造ラインで5年間働いてきました。しかし昨年の経済危機以降生産量の激減で、請負ラインの労働者を減らされる中でNさんも人減らし対象になり、3月15日まで契約が残っているのに遠隔地の配転か退職を迫られました。Nさんは同じ製造ラインで働いているJMIU組合員から紹介されJMIUに加入し、解雇撤回を要求し会社と団交を行いました。会社は、製造ラインには復帰させられないが、同じ職場の庶務的な仕事なら契約期間満了まで雇用する、仕事が増えれば製造ラインに戻すなどの協定を組合と結びました。しかし期間満了の3月15日をもって解雇するとの通告を行ってきたので団交を開き解雇撤回を求めたところ、1ヵ月契約期間を延長し、浜松での製造ライン配転か、ラーメン屋への転属なら雇用を継続すると回答しました。Nさんは家庭の事情で遠隔地への配転は出来ないこと、ラーメン屋などの仕事は性格的に会わない事を理由にこの提案を拒否し、あくまで同じ職場での勤務を要求して団交を行っています。もし要求が実現出来ない場合は、府労委のあっせんを申請する予定です。また請負ですが偽装請負の状況もあるので、派遣先に対して直接雇用の申し入れも行う予定です。(09年2月)