TVシリーズ30話その後

「 こどもはわかってくれない/父親 」

 豪炎寺はその日、監督である瞳子から、チームを離れろ、と告げられた。追って来た円堂に、すまない、と告げるのが精一杯だった。暖かいものが、頬を濡らすのを止める気にもなれないまま、ひとり、歩いた。破壊の後も生々しい式典会場から、帰る為に駅へと向かう道に、人影がないのが幸いだった。
 稲妻町に着き、家へと向かう。妹である夕香の居る病院へ行こうにも、エイリア学園の志に賛同する者、と自称する男達の事を考えると、出来なかった。自分が妹に近付く事で、妹へ危害が加えられる可能性が高まる。
 その妹が入院している病院の勤務医である父親は、今日も帰りが遅いだろう。キャラバンで全国を回る為に留守にすると告げてから、そう、日は経っていない。何をどう説明すれば良いのか、解らない。帰りが遅く、朝も早いのならば、いつも通りにしていれば、何事もなく過ぎて行くのかもしれない。けれど、学校はまだ、再建中だ。その間、自宅に閉じこもっていなければ、いけないのだろうか。
 誰にも、何も、話してはいけない。話す事が、出来ない。
 ……とりあえず、帰ってから考えよう。
 そう思い、帰宅した豪炎寺は鍵を開けようとしたが、扉は既に鍵が開いた状態だった。
 父親が、鍵を閉め忘れでもしたのだろうか。それとも、泥棒?……だとしたら、迂闊に中に入るのは拙いだろう。それとも、あの男達が…?
 豪炎寺が不審に思いながら玄関先で立っていると、中から足音が聞こえ、扉が開いた。
「お帰り、修也」
「……親父…どう、して…」
 扉から顔を覗かせ、普通に自分を迎え入れる父親に、豪炎寺は驚いた。
 とにかく中に入れ、と言われた豪炎寺は、そのまま父親の後についてリビングに落ち着いた。
 お茶を入れたコップを豪炎寺に手渡しながら、父親が言った。 「吉良監督から、連絡があってね。お前にチームから離れるように言ったから、今日中に帰ってくるだろう、と聞いた」
 未成年の自分を預かるからには、監督である瞳子には様々な責任と義務が生じる。保護者への連絡や報告も、当然、その中に入る。その事を失念していた豪炎寺は、どうやってこの場をやり過す事が出来るのか、それだけを考えた。
「……監督は、他に何か…?」
「何も」
 豪炎寺にしてみれば、監督が何に、どこまで気付いているのか、自分ではなく父親にそれを伝えたのか、伝えたのならばそれが何なのか、そういった事を確認したくて口にした言葉だったが、こんな言い方をすれば、他に何かある、と言っているようなものだ。だが、それに気付く余裕が、今の豪炎寺には、なかった。
「それ以上の事は、父さんも聞いてない。だから、こうしてお前を待っていたんだ」
 自分が何を抱えているのか、それを話せ。そういう事だろう。言えるものならば、最初から言っている。言えないからこそ、こうして戻ってくる事になったのだ。自分だけが。
 豪炎寺は、黙り込んだ。
 いつまでも、誤魔化せるものでは、ないだろう。けれど、今、言ってしまえば。妹が、どんな目に合わされるか解らない。それだけは、避けたい。
「……修也。今から父さんの言う事に、お前は首を振るだけでいい。正直に、答えなさい。いいね?」
 この状態で何をどう聞いても、豪炎寺が答えないと思ったのだろう、父親は、強い口調でそう、言った。普段、穏やかな父親が、こういう口調で物を言う時に、逆らったところで無駄だという事を解っている豪炎寺は、黙ったまま頷いた。
「チームから離れないといけないような問題を、お前が起こしたのか?」
 少し考えた豪炎寺は、ジェミニストームとの試合での自分の醜態は、問題だっただろうと、首を縦に振る。
「それは、向こうへ行ってから、何かあったからか?」
 今度は、横に。
「では、向こうに行く前に、何かあったと思って良いか?」
 知られては、いけない。そう思った豪炎寺は咄嗟に、首を横に振る。
「……夕香に、何か関係があるか?」
 瞬間、動きが、止まった。
 しまった、と思った。
「違う。夕香には…」
「黙りなさい」
 焦った豪炎寺が何か言いかけるのを制した父親は、そのまま豪炎寺を抱きしめた。
 何が起こったのか解らない豪炎寺の耳元で、父親が言った。
「お前は何も、話していない。だから、大丈夫だ、修也」
 豪炎寺は父親の言葉に、目を見開いた。
 話さないのではなく、話せないのだ、という事を、父親は解ってくれている。だから、こういう方法で自分に問うたのだ。確かに、あの男達に口外するな、と言われた事に関して、豪炎寺は何ひとつ話しては、いない。
 家に帰り着く前に、枯れ果てたかに思えた涙が、豪炎寺の頬を伝った。
 その背中を、髪を、父親の手がゆっくりと撫でる。
 声を上げて、泣いてしまいたかった。
 けれど、そうしてしまえば、何もかもを話してしまいそうだった。
 声を出さずに、静かに涙を流す豪炎寺を抱きしめたまま、父親の手は何度も、幼子をあやすように背中や髪を撫で続けた。



「もしもし、吉良さんですか?お世話になっております、豪炎寺です。修也…息子が、帰ってきました。はい、無事です。……はい。監督の推測通りのようです。いいえ。私は”息子から何も、聞いてはいません”…はい…そうです…”修也は何も、話してはくれませんでした”から。お解かりでしょう?”あの子は何も話してはくれなかった”のです。ですから、これは私の勝手な推測です。勝手ついでに、”これからの事”は、監督にお任せしてもよろしいでしょうか。お願いします。”私は今、何も出来ませんから”代わりに…虫の良い話で申し訳ありませんが、修也を…息子を、よろしくお願いします。はい…はい…”何かありましたら”連絡をお願いします。”電話には出られない”事が多いので…はい…それでは、失礼します」
 恐らく、これで今の状況が伝わった筈だ。豪炎寺の父親は、そう思った。
 ……あの子は…修也は、”何も話してはいない”のだ。”何も知らない”自分は今、動かない方が良いだろう。監督は、何か気付いている様子だった。学校や、場合によっては警察への連絡も行う、と最初に連絡を受けた時に聞いている。ならば、あの子の傍に居て、普通に日常を送る事。それしか今、出来る事は、ないだろう。
 ……普通に日常を送る。それだけの事が、出来るようになって来たところだったのだ、あの子は。
   自分の試合を見に行く途中で、事故に遭った妹。それは、決してあの子の所為では、ない。けれど、その事が余計にあの子を苦しめた。小さな子からほんの少し、目を離した保護者…父親である自分を責める事もせず、自分がサッカーさえしていなければ、妹がこんな目に遭わずに済んだのだ、と思い込もうとしていた。そう思い込んで、あんなに大好きだったサッカーから、離れてしまった。
 夕香の事を何も責めず、ひとり苦しむ修也を目にしても、ふたりを守るべき自分は正直、それどころでは、なかった。修也に掛けてやる言葉を探しあぐねているうちに、夕香の治療と自分の仕事の都合で転居する事になり、結果として修也を転校させる事になった時も、あの子は何も、言わなかった。言えなかったのだろう。
 修也の事を気に掛けながら、それでも何もしてやれずに、仕事に没頭する事しか、出来なかった。
 大丈夫だ。あの子は、昔からとても、しっかりしているから。
 そう思う事で、修也と向き合う事を、逃げていたのかもしれない。
 だから、とても嬉しかったのだ。修也が、雷門でもう一度サッカーをする、と決めた事が。それを告げられた日の事を、はっきりと覚えている。
 父親として、何ひとつしてやる事が出来ない自分を置いて、自分を取り戻していく様子を、眩しさと寂しさを持って見ている事しか、出来なかった。きっと修也は、友達や仲間、と呼べる人達を得て、自分で立ち上がったのだ。子供は知らない間に、成長していく。親とは、何て無力なものだろうか。
 これまで何もしてやれなかった。これからも、してやれる事など、たいしてないだろう。
 だからと言って、このままで良い筈がない。
 修也には酷であろう今回の事は、自分にとっては、良い機会だった。
 ただ傍に居て、生活する。自分には、それが出来る。確かに仕事に支障はある。だが、自分の子ひとりを守ろうともせずに、他者の命を預かり、助ける事が出来るだろうか。夕香の事であんなに苦しみ、それでも立ち上がり、夕香が目覚めてやっとこれから、平凡で、何でもない、自分の事だけを考えている事が許される、普通の14歳の日常を手に入れようとしていた修也を、これ以上苦しめて良いわけがない。
 今でも、修也から全てを聞いたわけではない。具体的に何か手助けを出来るわけでもない。だが、束の間でも修也が誰かを必要としている時に、傍に居る事が出来るのが自分である事が、嬉しいのだ。親では駄目な事があるように、友達では駄目な事もあるだろう。修也にとっては傍に居るだけなら、誰でも良かったのかも、しれない。それでも、親のひとりよがりでも何でも、良いのだ。
 ひとりではない、という事さえ、伝わるなら。
「あがったか?じゃあ、夕飯にしようか。久々に作ったから、出来はどうだか解らないけど」
 豪炎寺が落ち着くまで、そのまま抱きしめ続けていた父親は、そういう顔を親に見られたくはないだろう、と思い、先に風呂に入るように言って腕を解いた後、瞳子に連絡し、食事の支度を整えていたのだった。
「……親父の飯は、美味いよ」
 豪炎寺は自分がまだ幼い頃に妻を亡くした父親が、もともと嫌いではないから、と毎日のように作ってくれていた食事を思い出した。自分が今、夕香の為にきちんとしたもの…自分の出来る範囲、であったが…を作ってやりたいと思い、それを苦痛に思わずやってきたのも、今の生活で自分と父親の分を作っているのも、その時の記憶があるからだ。
「だったら、良いんだけどな」
 そう言いながら食卓に着く父親と向かい合って、豪炎寺も席に着く。
 先程の自分の様子を思い出すと、恥ずかしいのと照れくさいのとで顔を上げる事が出来ずに、皿を見つめたまま黙々と食べる豪炎寺に、父親が声を掛けた。
「ところで修也。明日からの事なんだけどな」
 エイリア学園に負け、破壊された学校は再建中だ。そのエイリア学園と戦う筈だった自分は、こうして戻って来ている。その原因が妹に関係ある、という事しか、父親には伝えられていない。
「父さん、仕事はしばらくの間、休ませて貰える事になったんだ。夕香の事があるから、様子は見に行く事にするけど、それ以外は家に居る。お前も、しばらく家に居なさい。夕香が気になるのは解るが、お前が夕香に近付かない方が良い状況なんだろう?」
 豪炎寺は黙って、頷いた。
「お前は夕香の事が心配だろうけど、修也、父さんは、お前の事が心配なんだ」
 修也はしっかりしているから、父さんは安心だ。
 そう言われる事が多かった豪炎寺は、食べる手を止めて父親を見た。
「今更何を、と思うかもしれないが…お前がサッカーを辞めた、と知った時は、辛かった。お前に何を言えば良いのか、何をしてやれば良いのか、解らなかった。お前が何も話さないのを良い事に、聞く事も出来ないまま…話してくれるのを待っていた、と言えば聞こえは良いんだろうが…出来なかったんだよ、父さんは」
 泣いてるような顔をしている。父親を見た豪炎寺は、そう思った。
「……俺は…親父に、何を言えばいいのか、解らなかった」
 話しても無駄だ、と思っていたわけでは、なかった。何を言えば良いのか、解らなかっただけだ。まだそれが、影山の仕業だと知らなかった時に起きた、事故。夕香や自分に対して、罪悪感のようなものを抱え、自分を責めている様子の父親に、何を言えば良かったのか。今でも、解らないままだ。
 それきり黙った豪炎寺を見て、父親は思う。
 ……解らなくて、そのままの感情をぶつけるなり、反発するなり、そういう行動を取る子だったら、違っていただろうな。
 それを受け止め切れずに自分も感情のままに、喧嘩のようになっていたかもしれない。その方が、お互いの事がもっと早く、解っていたのかもしれない。気遣っているつもりで、結果として自分の事しか考えられていなかった。修也が自分と同じようだったのだとしても、修也はそれで良いのだ。どれだけしっかりしていると言ってもまだ、子供なのだから。
「お前が雷門へ行って、またサッカーを始めた時は、嬉しかったし、安心したよ。……なあ、修也。お前がいつも、父さんに心配を掛けないように、考えてくれている事は、よく解る。実際、小さい時から、お前は夕香の事も家の事も、本当によくやってくれている。学校の事なんかも、あまり話してくれる事はないけど、勉強だってサッカーだって、精一杯やってる事はお前の様子で解ってたし、心配するような事なんて、ほとんどなかった。父さんは、修也に助けられている事ばかりだ。でも…」
 豪炎寺は黙ったまま、視線を少し上げて先を促した。
「何もかも、ひとりで抱え込んでしまうのを見ていると、心配になるんだよ。お前がそういう性分なのを、責めているわけじゃない。ただ、何かを守ろうとして、お前がひとりで苦しむ姿を見るのは辛いんだ、って事は、知っていて欲しい。お前が守りたいと思うものがあるように、お前を守りたい…って言い方は嫌がるかもしれないけど、父さんは、お前の事をそう、思ってる。…夕香の事があるから、お前はそう簡単に信じられないかも、しれないけれど」
 最後の方に、微かに自嘲の響きが含まれてしまった事を後悔しながら、父親は豪炎寺を見た。
「……あれは、親父の所為じゃ、ない」
「影山、だったな、確か」
「な、んで…」
 父親が、その名前を知っているとは思っていなかった豪炎寺が、目を見開いた。
「響木監督から、話は聞いている。鬼瓦さんとふたりで、病院まで来てくれた事があってね。フットボールフロンティアの予選決勝が終って、何日か経った頃だったかな」
 豪炎寺が、妹の事故に影山が関わっているかもしれない事を鬼瓦から聞いたのは、全国大会決勝の世宇子戦の前だ。それよりも前に、父親がそれを知っていた、という事になる。
「お前には、まだその事を話していない、と聞いた。影山を事情聴取している段階で、確証が取れたわけではない、という事だった。お前に話して動揺させる事もない、と考えての事だろう。それで良かったのだと、思うよ。いずれ、解る事だとしても。父さんだって、あの時はとてもお前に話せる状態では、なかった」
 確かに、予選の後は全国大会へ向けて、新しい必殺技の為の特訓をしたり、帝国の緒戦敗退がきっかけで鬼道が雷門に転校してきたり、一之瀬が加わったり、雷門全体が慌しく過ごしていたのだ。そんな中で、この事を伝えられていたら、どうなっていたのか。豪炎寺は自分でも、想像する事が出来なかった。
「この事は、吉良監督も知っているよ」
「監督が…?」
 まさか影山の事を、知っているとは思わなかった父親だけではなく、瞳子までが知っているという事に、豪炎寺は驚く事しか出来なかった。
「未成年の子供を預かる、という事は、その子に対してだけではなく、保護者に対しても責任を負う、という事なんだよ。響木監督と鬼瓦さんの話では、影山の件は40年も前から追っている、という事だった。お前が生まれる前からだ。それだけの長い間、大きなものが隠されたまま、未だ解決していない。全ての保護者に説明があったわけでは、ないだろう。夕香の事があったから…そしてお前が、雷門に居るから、話しておいた方が良い、と判断したのだと思う。あの後、影山が釈放されて行方が知れない事も、教えてもらった。そんな中で、新しい監督にお前達を預ける事にしたんだ、響木監督は。当然、そういった事情も引き継がれる。今までの事も含めて、全てを吉良監督は引き受けているんだよ。その監督から、お前をチームから外した、と連絡があったんだ。監督が何も言わなくても、ある程度の事は、父さんにだって解るさ」
 豪炎寺は父親の話で、チームを離れるように告げた瞳子に対して感じていた、勝つ為のチームを作る事と同時に、チームを守ろうとしているのではないか、もしかして、自分の事も同じように考えているのではないか、という事が、間違っていなかった事を知った。
「……お前のような年代に、もっと大人を信じろ、と言っても無理だろうとは思うけどね。父さんも、そうだったし、信用出来る大人ばかりでは、ないのも事実だから。だけどそれは、大人だけに限らないだろう?」
 豪炎寺が頷くのを見て、父親は言葉を続けた。
「大切なものを守りたい、と思う気持ちを、お前に対して持っている人達が居る、という事を、覚えておきなさい。友達だけじゃなくて、大人にも、そういう人達が居るんだ。修也、お前には」
「……はい」
 返事をしてすぐに俯いた豪炎寺が、泣きたいのかもしれないと思った父親は、席を外す事にした。
「……すっかり冷めてしまったな。温め直してくるから、少し待ってなさい」
 そう言って、ふたり分の皿を持ってキッチンへ向かう。
 ……折角、少しはマシになったのに、また赤くなってしまう。
 帰る道で、帰って来てから、泣き腫らして赤くなっていた目を、さっき風呂で冷やし続けて、いくらかマシになっていたのに。豪炎寺はそんな事を思いながら、急いで目を擦った。
 数日後、鬼瓦から父親へ連絡が入り、豪炎寺は沖縄へ向かう事になった。
「行ってきます」
「夕香の事は心配するな、と言っても、お前には無理だろう。心配していれば、良い。父さんも、お前の事を心配するから」
「……親父?」
「無事なのかどうか、それしか父さんには、解らなくなるからな」
 豪炎寺への連絡は、これから世話になる人物を経由して、鬼瓦だけが取る、という事になっていた。豪炎寺と直接関わりのある者からの連絡は、出来るだけ少ない方が良いだろう、という鬼瓦の判断だった。
 豪炎寺が父親や妹の声を聞きたくても、聞けなくなる。父親にとっても、豪炎寺の声を聞きたくても出来ず、お互い鬼瓦から聞く話だけが、様子を知る唯一のものとなる。
 無事だろうか。
 無事ならば、元気だろうか。
 様子が見えなくても、声を聞けば解る事もある。
 どの程度か解らないが、しばらくの間、それが出来なくなるのだ。どちらにとっても心配するな、と言う方が、無理な話だった。
「……俺なら、大丈夫だから」
 夕香の事を頼む、と言いたいのだろう。自分なら大丈夫だ、と。いつも、そう言って。心配を掛けまいとする、この子の性分なのだ、と解っていても、寂しく思うのは親の勝手なのだろう。
 親や周囲に迷惑や心配を掛けないように。自立出来るように。
 そう願って育てているのに、そして、そうであろうとして成長している子だというのに、もう少し親を頼ったり、心配を掛けてくれても良いのに、と思ってしまうのだ。
 そうなればなったで、何故こんなに心配させるんだ、と思う事は目に見えているというのにも関わらず。
 いつまで経っても、子供は子供。
 自分が子供だった頃も、場合によっては大人になってからも、親を始め大人達に言われるのが嫌でたまらなかった言葉。その言葉が持つ意味が、ようやく理解出来るようになった。
「……ずっと、親父が…居てくれたから。だから、今度は、夕香の傍に、居てやって欲しい」
 自分がそんな事を考えているとは知らない豪炎寺が言った言葉に、嬉しい驚きと共に大きく頷いた父親は、家を後にする豪炎寺をいつまでも、見送っていた。

END 2010.04.17

「名詞30題」より『10.矛盾』です。ぱぱになって抱きしめてやりたい。そんなオノレの欲望に正直になってみました。父×豪炎寺を期待した方がいらっしゃいましたら、申し訳ございません…腐れようと思えば、いくらでも腐れる事が出来ますけれども…根の深い病ですしね…血の繋がりモノは。一応、脳内補完の一貫ですし、いくら超次元でも、親は普通に親だと思…いたい。どの子の親も、ごく普通に子の幸せを願う親御さんだったら良いな、と思っております。父と子でしたら同性であるが故の親子の反発やら何やらも、そりゃあ、あるとは思いますが。頼れる人も術もなく二階堂のところへ縋りに行っちゃう修也さんも美味しい、とは正直思いますし大好物ですが(爆)大人は大人で色々考えているのでしょうし、あの状態で豪炎寺がひとりで鬼瓦に連絡を取るとも思えませんし、瞳子と鬼瓦だけで修也さんを沖縄までトバすのも何だかなあ…と思いましたもので、ぱぱに出て来て頂きました。萌えながらも親御さんのような気持ちに陥る事が多いのも事実です。俺得上等なだけの話で、正しくひとり祭りでございます。…何か、ぱぱの設定ネタバレがあったようですけれども、現在のワタクシは存じませんので、とり急ぎUPしておきます。