「 Opium Chain 」

女なんてものは、性欲処理の道具。自分でする方が、的確にイける、とか言う奴がいるけど、それはあれだろ、女に縁がねぇか、扱い知らねぇか、だろ。最初に自分の都合の良いように、教えてやりゃあ、良い。面倒といや、面倒。だけど、最初のひと手間で、あとは言いなりなんだぜ、ラクなもんじゃねぇか。
顔は連れて歩いて恥ずかしくないレベルなら、それで良い。可愛い、ってのは、乳くせぇのと紙一重だ。それよりは美人、って呼ばれるタイプ。スタイルは良いにこした事はない。いわゆるモデル体型とか、スポーツで鍛えてるタイプは却下な。女抱くのに、何だってそんなスープ取るしか使い道ねぇよーなカラダの奴、選ばなきゃなんねぇのよ。柔らかく、絡み付いて来るカラダは、男にはねぇからな。やっぱ、それだろ。抱けば、望むままに形を変える、やわい、肉。
ウブなタイプも、うぜぇ。ウブなフリ、も、いいかげんうぜぇけど、処女が一番面倒。優しくしてね、とかって、冗談だろ?女はされるもんだ、処女は奪われるもんだ、捧げるもんだ、って信じきってやがる。興味あるから、ついて来たんだろ?そんな気はなかった、ってんなら、とっととお家へ帰りやがれ。てめぇの初めて、がそれほどの価値かよ。そーゆーのが好きな野郎が多い、って事か。生憎、俺の趣味の範囲外だ。
頭はそうだな、バカはうぜぇが、バカめの方が、扱いやすいな。ひっかけるなら、そういうのが良い。後腐れなく遊ぶなら、頭の良いアバズレ。欲しいもんがはっきりしてるし、いらねぇ事聞かねぇし、やりやすい。つまんねぇ嫉妬とやらも、されねぇしな。
ひっかけるのは、簡単。何せ俺様は天才ですから。アメフトにおいては。
どんな分野であれ、人より抜きん出ている才能、ってのに、人は集まる。羨望や憧れを持つ奴なら、そのまま取り巻きじみたもんになるし、まあ、そういうのにくっついて、オイシイ目に合いたい奴も来る。反発だって、大抵はやっかみとコンプレックスが絡んでっから、力で黙らせれば良いだけだ。男は、まあどっちかだな。女はこれに、『才能好き』っての?そーゆーのが異常に好きなタイプがプラス。才能を食いたいのか、育てる喜びなのか、まあ、どーでも良いけど、とにかく才能のある男、の好きなおねーちゃん、結構多いねぇ。
練習しなくてもアメフトは強い。見てくれは善人、とは言えねぇし、言われたくもねぇし、だいたいアメフトの才能とやらだけで、ちやほやされんのには限界あるだろ。気性は荒い。その気性のままに暴れても、それについてくるカラダと腕力にまで恵まれちまって、どうするよ、俺様。裏、だの、不良、だのと言われる方面からの人望まで作っちまってるわ。徒党組むのはうぜぇけど、勝手に付いてくるもんまで、いちいち追い払うのも面倒だしな。勝手にすれば?
ああ、女の話から、逸れてるか。
とにかく、俺に都合良く、俺を気持ち良くしてくれなきゃ、意味、ないね。意思とかそういうの、邪魔。道具に意思があるか?ペットになら、あるかもな。あっても、飼い主絶対だろ、普通。
ヤリ捨ての女なら、どうなろうが知った事じゃねぇ。俺にひっかかった不幸とやらを嘆かれても、それ、俺だけが悪いわけじゃ、ねぇだろ。
とりあえずキープしておくか、と思ったら、こまめに電話。相手からのは、出ない。こっちからかけるだけ。寝る前…文字どおり、あとは眠るだけ、って時な…に、かける。どーでもいい事一方的に喋って、相手が何か言いたそうにしたら、『眠ィし、またな』で終わり。相手が怒っていようが、かけ直してこようが、無視。とりあえず、1週間ぐらいか?寝る前に、かけ続ける。
そんな電話でも、とにかくこっちから、決まってかかってくる、ってあたりで、女は勘違いする。俺が、そいつに惚れてる。だから寝る前だけでも声が聞きたくて、かけてくる。照れてるのか、本当に疲れてるのか、すぐに切るけど、毎日かけてくる。自分からかけても出ないけど、かけてくるんだから、待ってればいい。
女がそう思い始めたら、一切の連絡を断つ。女は焦る。不安になる。今まで、律儀とも言える状態でかかってきた電話が、ない。自分からかけるには、戸惑いがある。この状態の女は、だいたい4〜5日持てば、上等だ。耐え切れなくなった女は、必ず電話をかけてくる。電話されると不機嫌な俺に、それでも、かけてくる。
そうしたら、何事もなかった顔して、呼び出して、抱く。文句のひとつも言いたくて、うるさい口を開く前に、その口塞いで、足開かせる。とりあえず、嘘でも何でも甘い言葉のひとつも吐いてやりゃあ、多少手荒な事したって、会えた、抱かれた、って事実で満足してるもんだから、文句は言われないね。
女は常に複数キープ、だし、そんな事は女だって承知で俺に付き合ってるハズだが、それでも嫉妬とやらをする奴も、中にはいる。俺を独占したい、自分のもんにしたい、っつーんで、会ってねぇ間に誰とどうしたの何だの、問い詰めてくる。
そろそろ捨てようと思っていた女だったら、一発殴って放り出す。俺の気性を知りつくしているだろうから、それ以上は何もない。まだ、キープしておきたい女なら、すかさず押し倒す。暴れられようが、泣かれようが、どうだっていい。今更俺に優しさなんざ、求めてねぇだろうしな。
会ってなかった間にヤった女と同じ事を、する。当然、その女とは反応が違う。その違いを、覚えている限りの詳細さで、話しながら行為を続ける。女の抵抗は激しくなる。泣き喚き、暴れ方も激しくなる。強姦じみた光景。俺は、自分の快楽だけを、追う。ひどい男にひどい事をされてる私、ってヤツに、女が酔い始める。そうすると、乱れ方も激しい。俺も、やりやすい。勝手にストーリー作って、ヒロインになってくれるんだからな。ひどい男、結構。
泣き濡れて、乱れまくって、わけわかんねぇ状態になってる女。涙、舌で掬い取ってやって、絡まった髪、ほどいてやって、しっかり抱きしめる。『つまんねぇ嫉妬、してんなよ。おまえが、最高』とか何とか、とにかくおまえが一番だ、って事を言葉にする。見え見えの嘘でも何でも、女は言葉を欲しがるからな。言葉でさえ、夢見せておけば、いくらでも騙されてくれる。黙って行動、よりも、たとえ嘘でも、甘ったるい言葉を信じる、愚かな生き物。たまに、そういうとこ、可愛いとか思う事も、あるけどな。
薄情で、気まぐれで、自分勝手。ヤってる時だけは、甘い言葉。してる事やら、させてる事がひどくても、そん時の言葉だけは、優しい。女から別れよう、とするタイミングを見計らって、強引にカラダ開かせて言葉で夢見せる。飼い殺しの状態で、がんじがらめに陥った女なんて、面白いぐらい言いなりになる。ここまでくれば、もう、意思なんざ無いね。立派に、道具。
人がどうだか、そんなもん知らねぇし、知りたくないね。
俺にとっては、それが普通の事。
ずっとそれで通してきたし、不自由した事なんて、ない。
それが通じない相手なんざ、相手にしねぇから問題ナシ。
なのに、なんでこいつには、通じねぇんだ?女じゃねぇからか?俺に突っ込まれて、よがってる姿は、そこいらの女と変わりゃしねぇ、ってのに?
今も俺の下で、足おっぴろげて、俺にされるままに声あげて、我忘れてやがんだぜ?
こんなに簡単に言いなりになるようなヤツには、見えなかったから、意外。
ヒル魔妖一。泥門デビルバッツの、クォーターバック。
はっきり言って、泥門なんざ、どうだって良い雑魚チームのひとつに過ぎない。高校最強のラインバッカー、進清十郎目当てに足を運んだ、泥門と王城の試合。それ以外に興味ねぇし、ロクなのいねぇし。アイシールド、つったか…以前はいなかった、ちょっと足の速いのが入って、やたら進がそれに拘っているように見えたのが気になった程度の、クソ面白くもねぇ試合。アイシールドとやらも、進の前じゃあ、紙クズ。
ああ、そう言えば残り僅かな試合時間、帰ろうとしてたのはコイツだっけ?ベンチに向かって、メット取ったら現れた、派手な金髪。ソイツが試合に戻っただけで、士気が変わったのは、わかった。だからって、試合の流れがどう変わるわけでもなく、王城の勝ち。そんだけ。
次に目にしたのはビデオだな。泥門と太陽の試合。春季大会準決勝、俺ら神龍寺と王城の、前座試合。俺は前の夜にひっかけた女のトコに居て、そんまま、たらたら試合会場へ向かったから、試合内容がどう、とか、んなもんは知らなかった。雲水だのジジイだのがうるせぇから、とりあず泥門と太陽の試合をビデオで見た。どうせ、たいしたこた、ねぇし、流すつもりで見たけど、そこに、コイツが居た。
王城戦の時の泥門は、マネージャーがイケてんな、程度。準決勝の会場へ行く時に、まあ、ちょっと接触したけど、邪魔なチビもいたし、なんもねぇまま。あーゆー優等生そのまんま、な女が、意外と淫乱だったりするよな。惜しかった。
太陽戦は、ちったぁ泥門もマシになったか?って程度。神龍寺の…つか、俺の敵じゃ、ねぇな。強いチームには、そうさせるエースだとか、指導者だとかが、必ず居る。うちだとまあ、俺。あと、ジジイ。うちのジジイが、実力さえありゃあ、文句は言わねぇ、ってタイプだから、俺も持ってる。妙な根性論やら、平等主義やらを振りかざす監督だったら、速攻辞めてるね。使えるのがいたって、使い方知らねぇなら、それまでだろ?
泥門には、ロクな選手はいねぇし、頭脳もねぇ、と思ってた。偶然に頼るだけの、低レベルなチーム。太陽戦では、ガタガタだったラインが少しマシ…つっても、普通だろ、普通…になってて、作戦としても、それなりに考えているのが見てとれた。キッカー、いねぇのな。バレバレ。攻撃しか、パターンのねぇチーム。
そんな弱小チームのくせに、やたらと士気が高かった。太陽相手に、どう考えても負けるだろう、と誰もが思っていた試合。しょっぱなのライン総青天、なんつー珍しいもん、どんだけ笑ったよ。会場中の笑い声やら野次やら、しっかりビデオに入ってたぜ。泥門で唯一、ラインらしいラインの巨体が俯いてて、ありゃあ、泣いてたんだろうな。だせぇ。総崩れになったラインがへたり込んでるところに、ひょろ長いシルエット。番号1で、コイツだって分かった。なんかコイツが言ったらしくて、巨体が復活してた。前ん時もそうだったな。コイツが、チーム引っ張ってんだな。じゃあ、コイツひとり潰せば、泥門オシマイなワケね。
引っかかったのは、それが最初、だな。面白いかもな、と思って見たのは。サックくらって笑われてたが、ボール離さねぇとこ見ると、分かってんな。その後も、いい動きしてた。が、他が使えねぇからなー。苦労するねぇ。そんなんでも結局、太陽と引き分けて、アメリカ戦に出ちまう事にしやがった。今度は、どうする?
次に何をやらかすか。楽しませてくれそうだ。見ていて、飽きねぇ。泥門じたいは、さして興味ねぇけど、コイツは、面白そうだ。
どこの試合会場にも、大抵スカウティングに来ているらしい。目立つ金髪、銃器とノートP Cの標準装備。泥門なんざ素人の寄せ集めチーム、としてしか認識されてねぇから、偵察された所で、どのチームもたいして気にも留めてねぇらしいがな。それも、変わってきたか?変えたのは、コイツだろうな。アイシールドがいたって、使いこなせねぇなら、いねぇのと同じ。
神龍寺は関東最強だからな。来るわけよ。偵察は、どこもしょっちゅうな。それなりに強い、と言われているチームが来たって、俺らが…まあ、俺は練習しねぇから、知らねぇけど…なんか変わった事するわけでもねぇし。手のうち見せまくったって、勝つんだから問題ない。ヒル魔が泥門だって事とか、名前までは誰も知らなかったみてぇだが、まあ、コイツは目立つからな。ひょろ、っと来ては、データ打ち込んでやがる姿。チームでも話題には、なってたみたいだな。妙なのが居る、ってレベルで。
適当に絡んでやったら、どうすっかな、と思った。面白そうなヤツだし、泥門周辺じゃあ、知らねぇヤツがいないみてぇで、凶悪で最悪な悪魔、って風評は聞いていた。さすがに『天才・金剛阿含』の事は、知ってやがったね。どこまで知ってんのか、わからねぇけど。
適当に絡んで、からかってみても、ノってもこねぇ。何スカしてんの?イラつく。この辺りは俺のテリトリーだ。軽く拉致るか?と思ったが、あっさり付いて来た。何だ、やっぱ俺に興味深々?って、そりゃねぇな。ま、アメフト絡みで何か収穫ある、とでも思ったか、本能的に逆らうとヤバい、とでも思ったか、そんなとこだろ。
俺がたいして意味もなく、うだうだ話してても、聞いてんのか聞いてねぇのか分からねぇ態度で、黙ったまんま。俺の目的が分からねぇから、大人しくしておこう、ってハラか?俺も俺だ。何だって、ひとりでしゃべってんのよ。コイツをどうしよう、っての。女、ひっかけて適当に口説く時でも、こんなにしゃべらねぇよなあ。ヒル魔クンの事が知りたいの、ってか。…言っててサムい。
面倒くせぇな。女なら、適当な言葉垂れ流して、強引に抱いちまえば、それでO Kなんだがな。ヒル魔クン、男の子ですからねぇ。それにしても面白れぇ顔、してるよな。そう思って、まじまじと見る。シャープな輪郭。目つき悪ィな。ちょっと、変わった色してね?耳は、人間じゃねぇみてぇだな。やたらデカくて、とがってる。いわゆる美形、じゃねぇが、整ってるな、そこそこ。ほんとに運動選手かよ?っつーくれぇ、色白。細っこい、な。これで馬場のサックくらって、よく持ったもんだよな。ガリガリじゃあ、なさそうだけど、女だったら抱きたくねぇカラダだな。
あんまり見てるもんだから、居心地悪ィのか、軽く睨みつけて来ましたよ、ヒル魔クン。…イイねぇ。ようやく本性発揮する気になったか?どんな反撃…攻撃した覚えはねぇけど…してくっかな。
「話は終わりか?」
話らしい話、してねぇけど。まあ、相手がどう思ってるか、とか、そんなんどーでも良いから、俺は。ちょっと面白そうなの見つけたから、どんなか、って気紛れだけだし。
「ヒル魔クンが、お話したいなら、続けるけど?」
「いらねぇ。帰る」
そんだけか?拍子抜けだな。凶悪で最悪な悪魔さんとやら。そんな、大人しい人なワケ?面白くねぇな。少しは楽しませてくれねぇと。
帰ろうとするヒル魔を手近なとこに連れ込んだ。神龍寺は、男子校だ。まあ、体育会系なんかには、ありがちといえばありがちなのか。先輩のモノしごかされたり、自分のモノしごかれたり、時には突っ込まれたり、ってのは。俺には、関係ねぇ世界だと思ってたけどな。いやあ、どうなるか、わからねぇもんだ。経験しときゃあ、良かったか。もちろん、犯す方で。
欲情したワケでもねぇけど、取り澄ましたコイツの顔が、犯したら、どんなふうになんのか、ってのには、興味あるワケよ。それなりに鍛えてあるだろうから、抵抗されると、うぜぇな…女みたいに、あっさり封じ込める、ってワケにも、いかねぇだろうしな。まあ、変わらねぇか。
男を抱く趣味は持ち合わせてねぇし、扱いなんざ、知らねぇ。女より、多少乱暴に扱ったって、平気だろ。そのへんは、ラクかもな。男相手に勃つか、ってのが問題か。まあ、別に突っ込むなら、他のもんでもいいか。コイツの反応が面白けりゃ、それで満足なんだしな、俺は。
うるせぇ事は聞きたくねぇから、まずは口を塞いでおく。猿轡でも噛ましとくか、と思ったけど、そんな手間かける相手でもねぇだろ。どうにもうるさかったら、殴っときゃ済む。とりあえず、どんなもんよ?キスぐらいの経験は、あんだろ?
男に優しくするような趣味はねぇから、食らいつくようにキスすると、驚きも抵抗もしないで、平然と受け止められる。何?ヒル魔クン、男、経験アリ?そーは見えないけどねぇ…意外。男が好きな男の趣味は分からねぇし、分かりたくもねぇけど。そのテに好かれるタイプだったりすんのか?それか、諦めてんのか。まあ、経験ってんなら女とのソレ、が普通か。あんま、遊んでるようにも、見えねぇけど。誠実なカレシ、とやらを、やってんのか。やってたら、ここでこんな事、してねぇか。
口をこじ開けるまでもなく、開かれた唇。誘ってくれちゃってんのかな?痛そうな犬歯で、舌でも噛むつもりか。
抵抗のないヒル魔の口ん中、遠慮なく舌で犯す。強引に、応える隙なんか与えないぐらいに、掻き回す。女だったら、こんだけで膝が崩れたりするんだぜ。ヒル魔の呼吸が苦しそうになって来ている。堕ちてしまえ、早く。
内心ニヤつきながら、更に深く舌を入れると、それを捕らえられた。ねだるような、甘ったるいキスなんてもんじゃ、ねぇ。やられた分だけやり返す、とでもいうような激しさで、捕らえられた舌は絡め取られたまま、口ん中、這い回る。…はっきり言って、上手い、んじゃねぇの?今までの女よか、感じてる俺ってヤバくね?
こっちの気が遠くなりそうになって、口を離す。ふたりとも、息があがって、短い呼吸を吐きながら、てらてらした唾液の糸、口から垂らしてるってのは…どこの熱烈な恋人どうしよ、俺ら。お笑いだな。
「ずいぶん、慣れてるみてぇだな」
聞いてどうすんだ、俺。
「てめぇも、じゃねえの?」
抑揚のない声と、不敵な笑み。挑戦的な、顔。イイね。俺は間違ったってマゾじゃねぇから、こういう顔したヤツを、嬲って支配する方が好きだね。ゾクゾク、する。このまま犯されて、いつまでそんな顔していられるか、見せてみろよ。
ヒル魔の服を半端に脱がす。男のカラダなんざ見たって、萎えるだけだろ?
あー、嫌がらせすんなら、痕、つけたくった方が良いな。部室で着替えられねぇように、してやるよ。はだけた肌に適当に手、這わしてやると、ひくり、と反応が返ってくる。ああ、ソコが弱いんだ?んじゃ、ま、やらしい痕、付けときますか。
「……は…ァ」
吸い付いた途端、ヒル魔の声があがる。耐えるタイプかと、思ってたけどな。何?簡単に堕ちちゃうタイプだったワケかな、ヒル魔クン?…に、しても。その見かけからは、かけ離れた声、出すんだな。妙に、クるもん、あるわ。もっと、聞いてみてぇな、とか、うっかり思っちまう。
ヒル魔の反応は驚くほど、素直だった。抵抗もなければ、耐える、ってな様子でも、ない。俺の指、俺の舌が、カラダを這いまわる度に、半ば掠れたような声をあげる。男にイイようにされて、恥ずかしいとか、そういうの、ねぇのか、コイツ。
そんな事を思っているくせに、それに煽られるように、ヒル魔のカラダに痕、付けたくる。コイツ白いから、すげぇ目立つ。少しはだけさせた程度の肌は、赤く染まって、追い上げている熱のせいか、付けた痕かも、区別つかねぇ。すげえ、眺めだな。自分の付けた痕、こんだけまじまじ眺めるのも、初めてかもな。いつもなら、出せりゃいいから、女がどう、とか考えねぇし。
全身、染めあげてみるのも、面白いかもな。女相手に思った事もねぇ事を考えるより早く、俺の手はヒル魔の邪魔な服を引き千切るように、剥がす。胸から腹から腰…ああ、コイツ感じてんだな、とか、自分とおんなじモノの反応見ながら今更のように思って、腿だの膝裏だのも、染めていく。ヒル魔はといえば、ひっきりなしに声、あげてやがる。妙にクる声が、背筋をゾクゾクさせる。這い回る舌と指。ヒル魔の声の調子が変わる部分が、コイツの感じるところ、ってヤツなんだろうな。面白え…。男があんあんよがっても、きもいだけだと思ってたけど、だんだん色気じみたもん、感じてくるから妙な気分だ。
自分の快楽そっちのけで、こんだけ気持ちよがらせてる俺、ってのも今までにない展開だな。イク時、どんな顔、するんだ?コイツ。舌と指だけで、それだけ気持ち良さそうに…しかも同性に…されるとは思わなかったな。こっちも才能あんのか、俺。
ヒル魔の全身を真っ赤に染め上げて、反応しきったヒル魔に指を伸ばす。んなもん、触ってどう、とか冗談じゃねぇとか思ってたけど、思ったより平気なもんなんだな。人のモノなんざ、触った事もなけりゃ、掻いた事もねぇけど、ま、自分とおんなじよーなもんだろ。自分がする時とか、女にさせてる時、良かったのを思い出しながら、刺激を与える。ヒル魔は切羽詰まった顔を隠しもしねぇで、欲しがる表情と仕草で、先を促す。つられるように、望むままに刺激する。こんまま、意地悪く放置、って手もあるな、なんて考えた時には、大きくカラダ、震わせたヒル魔が、イってやがった。
すげえ顔、すんのな。男でも、女と変わらねぇ…いや、それ以上か。見慣れねぇから、そう思うのかもしれねぇ。どーだっていい。俺を咥え込んだコイツの顔が、見てみたい。男相手に勃つかよ、と思ってたのが嘘みてぇに、反応している。
俺を気持ちよくさせてくれりゃあ、そっちも気持ちよくなれるんだ、お互い、イイ思いしましょーか、ヒル魔クン。あれだけ気持ち良く口ん中で動き回る舌をお持ちですから、その技を駆使してもらおうかなあ。女だったら、こんだけ乱れりゃ、自分から咥えてくれたりすんだけどな。とりあえず、その、どこまで裂けるのか謎なおクチで、しゃぶり尽くしてもらえると、良さそうなんだけどね?俺が。
視線も虚ろなヒル魔の口元に、自分の下半身、押し付けるみたいに持っていく。頼んだわけでもねぇのに、薄く開いた口から伸びてきた舌で、掠められる。我慢、できねぇ、ってか?長い指と、やたら赤い舌が、絡みつく。やり方を、よくご存知で。実は自分が、そうやって欲しかったりしたんじゃねぇの?しつこいくらいに、追い上げられたかと思うと、はぐらかされる。
下手な女だと、とりあえず、さっさと出す。『気持ち良いから、すぐに出た』みたいな演技もするな、たまには。何も女だけが、演技するわけじゃねぇよ。ほんとに気持ち良けりゃ、ずっとしゃぶってて欲しい、なんつー気になって来て、出そうになると自分でコントロールできる事、してみたりな。早漏と思われるのも、遅漏と思われるのも、どっちも気にくわねぇから、適当なとこで喉奥に突っ込んで、飲ませて終わるけどな。顔射は趣味じゃないから、しねぇ。んなもん付けた顔で、すり寄ってこられてもな。
コイツがそのタイミングっつーか、イキたいけど、もうちょい、されてたいかな、みたいな俺の快楽のツボを突いて来んのが、上手い。おんなじ男、だからか。自分が気持ち良く感じる事を相手にしてやる、つったって、女にはねぇもんだから、どうしたって限界あるだろ。
こんまま、コイツの口でイカされる、ってのも、いいかもな。そんな事まで、思っちまう。相手は男だぜ、阿含。わかってんのか?とか、今更な自問をしてみたりな。どーだって、いい…こんだけ、良けりゃ。
もう、俺も限界かな、と思った途端、ヒル魔が快楽をせき止める形のまま、口を離す。指は、俺に絡めたまま、だ。正直、キツい。
「どう、しようってんだ。あ?」
凄んでみても、この状況じゃ、お笑いにしかならねぇが。
「口ん中で出されんのは、好きじゃねぇんだよ」
身もふたもねぇ、物言いだな、オイ。美味いもんでも、ねぇと思うけど。うっとり、って言葉が似合う顔して、しゃぶってたのは、どこのどいつだ。
「…くれよ、俺ん中、に。今更、嫌とか言わねぇよな?ああ、挿れた途端に出すの、ナシな。そんくらい、我慢できんだろ?」
卑猥、ってのは、こういう顔を言うのか。んな顔で、そういう事、言うか、てめぇ。可愛くねぇな。いや、男可愛い、って思う方が、どうかしてんだろうけど。けど、さっきまでのコイツは、可愛い、っつーカンジだった。俺もイカれてきたか?
男同士だったら、突っ込むとこなんざ、ひとつしかねぇ。排泄物の為に使う場所に、突っ込むなんざ、正気の沙汰とは思えねぇ。んな事言ってても、女相手にはヤるけどな。男、はカンベン。けど、コイツになら、平気だと思えるのが不思議なもんだ。限界近いと、ここまで追い詰められるもんなのか。
慣らさねぇと、自分も辛いのは女相手でも同じ。男相手に突っ込んで、抜けねぇ、とか動けねぇ、とか、間抜け晒すのもカンベン。舐める、っつーのは、抵抗あるな。指でいっとくか。
ヒル魔の口に、指を突っ込む。爪の間、指と指の間、軽く歯ァ立てたり舌でつついたり、手、ってのも性感帯だったりすんだな、と思っちまう愛撫が、ヒル魔から与えられる。唾液のせいで粘液質の音がする。わざと、だろソレ。ぴちゃくちゃ音立てながらねぶられて、俺の手はぐしょぐしょ。
その指、後ろに突っ込んで、掻き回す。ヒル魔のカラダが、跳ねる。聞いてる俺の方が恥ずかしくなるような声を、ひっきりなしに、あげる。そんな、イイか?てめぇのカラダ、どうなってんの。
指引き抜いて、解放寸前の俺を、突っ込む。途端、トーンの高い声と、ありえねぇ程跳ねる、カラダ。突っ込んだ途端、イクな、つったのは、てめぇだろ。てめぇはいいのかよ。締め付けが強いのは、天然か、てめぇは。腹に無駄な力、入ってるようにも見えない。腹筋使って、締め上げるのは女の常套手段。男でも、変わりねぇはず。抱かれる為のカラダ、ってのがあるなら、こんなんかもしれねぇ。すげぇ…イイ。なんで女じゃねぇのよ。男に突っ込んで、耐えられねぇ俺、ってのは…クるもん、あるぜ。
ヒル魔は貪欲で、欲しがるだけ俺を欲しがって、言わせるまでもなく、ねだって来る。何、おまえ。信じらんねぇ。羞恥、ってもんが、ねぇのか?男にされんの、そんなにイイか?俺には理解できねぇな。したくも、ねぇけどよ。
お互いイクだけイって、疲れ果てたと思うのに、ヒル魔は何事もなかったかのように身支度を整えて、帰って行った。…ありえねぇ。ヤった後、離れたくねぇ、とか。もっかい、淫靡な顔が見てぇ、とか。俺を求めて欲しい、とか。男だぜ、相手は。女相手でも、俺の快楽しか考えた事なかった、ってのに。
忘れられないのは、カラダ。何度か抱けば、すぐに飽きる。ヒル魔は呼び出せば、逆らう事はなかった。女相手の時みてぇに、ひどい事してみても、させてみても、全く抵抗がない。俺の言いなり。道具に堕ちた時点で、早々に飽きるのが、いつもの俺、だ。なのに、飽きる事がない。執着なんざ、縁がねぇと思ってたのにな。どう考えても、執着してる、としか言いようがない。お笑い、だ。
俺は、一体何をコイツに求めている?ココロ、ってヤツか?『愛してる』って言葉か?そんなもん、アテにならねぇ、って事は、俺自身が嫌って程、知ってる。そんなもんは、ただの道具。そう、俺の欲望を満足させる為だけの、手段。なのに、なんでコイツを呼び出しては、抱いてんだ。
従順で、俺を満足させる、便利な道具。それなら、複数の女だけで事足りるはずだ。そして、コイツは抱いてる時は気味悪いぐらいに従順で、俺を満足させる。他の道具と、何が違う?
俺の望むままに抱かれて、形を変えるカラダ。やわい肉もなければ、甘い言葉ひとつ、ない。俗に言う、セックスフレンド、ってヤツに過ぎないはずだ。ヤりたいだけヤって、終わり。興味本位で手ェ出して、ハマった、ってヤツなのか?愛されたい、とか願っちゃってるワケか、俺。爆笑モンだな。何ひとつ、不自由した事ねぇ俺が。愛を乞う人、とやらに、成り下がってんのか?…ありえねぇ。
コイツは俺の道具に過ぎねぇ、ってのを確信したくて、呼び出す。抱く。それの、繰り返し。どんな女相手でも通じてきた、通じさせて来た、俺のやり方を、繰り返す。ココロなんてもん、いらねぇ。カラダだけ、だ。気持ち良くて、手放したくない。それだけ、の。

END 2004.03.29.

乙女な阿含と、ひどいヒル魔さん、のつもりなんです…。いいよいいよ…少女漫画胸のときめきは、ワタクシには無理だよ…。