穐月 明(アキヅキ アキラ)
「追想夜汽車」
81cm×54cm
略 歴
水墨画、それは人類が発明したもっともデリケートな、心と直結した精神的絵画といえる。
墨・水・筆と紙だけで、心の一瞬のたかぶりやためらいさえも伝えあらわすのである。
中国では「卑しい心で筆を持てば、その墨の色には卑しい色が見える」と教える。
墨一色でありながら、あらゆる色の表現をより深く可能であろうとする水墨画は、 その思惟、方法において多分に東洋的であり近代が喪失した精神性をよく維持している。
その世界で水墨画一筋に精進を続けている一人が穐月明である。
彼は、自身の技法の適切な冴えと可能性の広さにおいて他の追随を許さない。
作品は単なる写実に終わらない。
画面の奥からにじみ出て来る<神・気>がある。
それは万巻の書を読み、詩心を清め、画心を深めている作家にして、はじめて成し得ることと 思われる。穐月 明は1980年「美術年鑑」誌上において作画の気持ちを次のように語っている。
「自己の内に去来する貧・瞋・痴の心を水・墨・筆で紙の上に浄化する、この道の興趣をつくづく 思います」と。
<作品>
モチーフ…花(椿・牡丹・桔梗・芙蓉 等)、静物(桃・茄子・柿・南瓜 等)、動物(犬・猫・牛・馬・猿・兎・亀・十二支・魚 等)、石佛
表装…額装(2号〜40号位)、軸装、風炉先屏風


于 右任(ユ ヨーレン・ウ ユウニン)
「雲山起翰墨」
「星斗煥文章」
80cm×36.5cm
略 歴
書は求められるまま、無償で書き与え、中国再興を志しながら果たせなかった悲運の愛国者。 近年、中国においてその書は「国宝」とされ、その収集保存が計られている。 故郷の陜西省三原県に「三原于右任紀念館」(1997年竣工、2000坪)があり、 日・中・台で出版されている関係図書は30種類を超える。 「人は神仙、書は草聖」と称えられ、現在も国境を越え多くの人々に敬慕されている。
<作品>
50代初めから最晩年(86歳)にわたり所蔵
表装…額装、軸装


傅 益瑤(フ イーヤオ)
「峨嵋山月歌(李白詩)」
15号
略 歴
近代中国の「南北二石(斉白石と傅抱石)」或いは「中国の三石(呉昌碩を加える)」とされる 傅抱石を父に持ち、第1回日中交換留学生に選ばれ、日本絵画の研究を志した秀才。 近年、各地寺院の障壁画に取り組んでおり、いずれも高い評価を得ている。
<作品>
モチーフ…山水、祭り、人物、花、詩意画(漢詩、日本の詩・俳句等を絵にしたもの)
表装…額装(2号〜40号位)、軸装


池田 方彩(イケダ ホウサイ)

「平常心」
34cm×119.5cm
略 歴
東洋古来の木彫書に独自の工夫を加え、平面状のものであった書が立体的な陰翳と彩色を得て、 力感溢れる相貌を帯びて現れ造形上に新天地を創る。
書・彫・彩の三位一体を目指して生み出された新しいジャンルの芸術である。
東洋芸術では古来より、品格高く、溌剌たる生気に満ち、静けさをも備えた作品を「気韻生動する作品」というそうだが、 彼は、現代において「気韻生動する作品」を作り得る稀有な作家の一人であるといえよう。
<作品>
木彫書…3号位から書軸タイプの縦長サイズ、及び扁額サイズ、語は一字書、禅語等
木彫……観音菩薩、地蔵、布袋等