績の酒講座(12) (平成11年2月)
「木槽天秤しぼり(きぶねてんびんしぼり)」の酒はなぜ旨い?
木槽天秤しぼり(きぶねてんびんしぼり)の木槽(きぶね)とは、
厚さ10センチの桜材で作った、たて3.5メートル、横1メートル、高さ1.2メートルの木舟のようなもので
一方に酒の出る口が付いてあります。

写真上左:もろみを袋に注入し、木槽(きぶね)に積み重ねていく作業。
写真上右:積み重ねられたもろみの袋。最初は重力だけで酒が搾れます。
写真下:天秤を使って圧力をかけ、搾っているところ。「責め(せめ)」の状態。
その中に もろみの約8リットル入った袋を何百枚も積み重ねて、
天秤の原理を応用して搾る、昔ながらの方法で3日間かけてゆっくりと搾ります。
機械しぼりの約85%しかしぼれませんが、出てきた酒は雑味のない旨い酒となります。

写真左:木槽の大きさがわかっていただける場面。
写真右:木槽(きぶね)最下部の「ふなくち」から搾れた酒がしたたり落ちています。
しかし、蔵人は大変な技術と労力が必要な仕事なのです。
そのため、今では全国で3社のみになってしまいましたが、
上原酒造は旨い酒造りのために今後ともこの方法を続けて参ります。
機械搾りは1回の工程は1日で充分、特別な技術もいらず機械が自動的にすべてやってくれる
合理的(能率的)な方法ですが、合理的のみに頼っているのも……?

写真左:現在の木の天秤棒で搾っている場面
写真右:以前天秤棒に使っていたH鋼
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