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績の酒講座(6) (平成9年4月)

「山廃仕込み(やまはいじこみ)」ってなーに?



 最初に、酉元(※1文字でモトと読みます)とは、
 清酒の本仕込みで健全な発酵をさせるために優良酵母を純粋に大量培養したものをいい、
 タンクに麹(こうじ)、蒸米、水、乳酸、優良酵母を加えて造ります。
 1つめは、先に乳酸と培養した優良酵母を加えて、
 約2週間という短期間で比較的容易に仕上げる酉元(モト)を速醸(そくじょう)酉元(モト)といいます。

 これに対して、山廃仕込(やまはいじこみ)(山廃酉元)とは、
 酉元造りの伝統的な手法で、
 天然の乳酸菌を取り込んで雑菌を駆除し、
 同様に天然の優良酵母を純粋に育てる方法です。

 これは仕上げるまでに約1ヶ月かかり、温度操作なども大変複雑です。

 乳酸添加技術、酵母培養技術が発達した今、
 全国でもこの手法で酒造りを行っている蔵元は
 ほとんど無くなったように聞いております。

 現在行われている山廃仕込は、
 製造工程の中で純粋に培養した清酒酵母を大量に添加して
 酵母を育てる方法が行われております。

 山廃仕込みは、酸味の強い独特の風味や力強いのどごしが特徴で、
 これをすごく好む方も相当いらっしゃいます。


 【酵母を添加しない山廃仕込】

 酵母を添加しない、本来の山廃もと造りがこの蔵の特徴。最近の傾向として、きれいな口当りの山廃仕込みのお酒が、多いなか、この蔵のお酒は腰の強さと太さが魅力です。酵母を添加しないというのは、山廃だから当たり前だと思われるかもしれませんが、実際には酵母を添加して造る蔵の方が、圧倒的に多いのが実情。

 ですから、普通は1日おきに仕込んでいく、「半仕舞(はんじまい)」もしくは毎日仕込む、「日仕舞(ひじまい)」なんですが、この蔵は山廃の特定名称酒の場合、4日で1本、もしくはそれ以上の時間をかけて仕込むこともあるそうです。

 (もっとも最近では、杜氏さんもそのクセを熟知され、普通主を山廃に変えてから、普通酒だけはなんとか半仕舞でやれるようになったとか)

 つまり、それだけ手間がかかり、作業工程の前半は“もと造り”ばかりに集中するとか。現在、全体の酒の中で山廃造りの酒の比率は75%。“暖気樽・だきだる”をいかに使うかという、温度操作が鍵となり、そうして造られた味のある酒こそ不老泉の個性であると、上原専務はおっしゃいます。

 【手法なのか、味なのか】

 専務とのお話の中で強く印象に残るのは、山廃造りという“手法”で淡くてきれいなお酒を造る蔵もあれば、当社のように山廃造りならではの濃い“味”で売る蔵もある。速醸で造った酒のような淡麗な山廃では、結局アイテムバラエティーのひとつとしての存在でしかないのでは。当社は長い熟成にも耐えられる、本当の山廃造りの味を、これからも提供していきたい。 という言葉です。

かたやま酒店 メールマガジン あなたと地酒と音楽と(2003・3・19)より引用



 【山廃造り】

  酵母を添加しない山廃造り、つまり、自然に酵母が湧いてくるような方法を取る山廃造りをする蔵元は、まず無いと書いてしまいましたが、訂正させていただきます。本当に申し訳ありませんでした。
  今号で紹介しました上原酒造さんでは、酵母を添加しない山廃造りをされておられます。「山廃」と表示している酒のほとんどは、酵母を添加した酒です。そういう酒が、不味いというわけではありません。美味しい酒も多いのは事実です。しかしながら、酵母添加を行わず、じっくりと酵母が自然に湧いてくるのを待ち、酒を醸すような蔵元もあるというのは驚きでした。そしてその酒の味が本当に素晴らしかったことは、より大きな驚きでした。

 【蔵元探訪】

  上原酒造さんは、琵琶湖の西岸の北部に位置します。酒造高は500石ほど。本当に小さな蔵元ながら、最新の精米機で丁寧に精白を行い、酒質の向上を重視する実力蔵です。

 「うちの杜氏は山廃が得意でして・・・」 
 そう、控えめに言われた声には自信が満ちていました。 

  実際、山廃の酒を飲ませていただくと、その力強さに驚きました。口当たりは柔らかいのですが、じわじわと味わいが口中に広がり、しかも、その味わいが長く続きます。本当に芯の太い酒でした。

 「酵母添加しないので、苦労するんですよ。」

 一瞬、聞き違いかと思ってしまいました。正直、いまどき、そんな造り方をしている蔵元っていないと思ってたんです。

 「なかなか(酵母が)湧いてこないから、心配して、(酒造指導の)先生に相談したら『酵母添加しなさい』って言われてしまうんですけど、杜氏は「ほっとけ〜」ですんでねぇ。うちの杜氏は、『酵母を添加するような山廃(造り)は、山廃(造り)じゃない』って言うんですよ。」

 sakemag82(2000・10・6)より引用


山根杜氏の写真杜氏からのメッセージ
「優良 野生酵母を育てる」 杜氏 山根 弘  (平成11年2月)

 自然界には色々な微生物が共存している。
 その中に酒を造る微生物も生存している。
 これが野生酵母です。
 この自然界の酵母を上手によびこみ育てて造る、
 これが山廃清酒である。

 1度の温度の違いが酒質を変える為ゆだんは出来ない。
 酒造りは24時間中緊張の連続……育児に似ている。
 少し目を離すととんでもない方向へ走る。

 やさしく時にはきびしくあせらず急がず愛情を以って育てると
 野性味豊かなふくらみのある独特な酒になる。

 酒通には一度口にするとこの酒のとりこになるそおな。 
 全国でも例をみない上原酒造独自の山廃清酒です。

 自然を愛し自然を育てる、
 四十年の経験を駆使して皆様に喜ばれる酒を造る。
 苦労の中にも楽しみを含んだ酒を造る為、
 家族を遠くに残して今日もがんばっています。



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