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ゲンゴロウブナ

ゲンゴロウブナは元来、琵琶湖・淀川水系に自然分布する固有種と考えられ、主に植物プランクトンを食します。成魚は体高が高く、眼がやや下方に位置し、他のフナ類と容易に区別できます。琵琶湖に生息する固有のゲンゴロウブナは、産卵繁殖地の減少やオオクチバスやブルーギルなどの外来種による食害などによって個体数が減少し、現在では絶滅危惧種・IB類(EN)として環境省のレッドリストに指定されています。

繁殖期は4~7月で、雨後の夜明け前に、浅場の水面に浮いた水草などに産卵します。成長すると全長50cmを超えるものもいるといわれています。ヘラブナ、カワチブナはゲンゴロウブナを人工的に飼育したもので、ため池養殖、釣り堀用及び放流用種苗として用いられています。

近年、琵琶湖では大型の植物プランクトンなど、単一種が優占する現象がみられ、琵琶湖産魚介類の餌環境や生態系への影響が懸念されています。

そこで、ゲンゴロウブナは植物プランクトン食で、特定の植物プランクトンの優占を抑制する効果が期待できることから、ニゴロブナ、ホンモロコと同様に水田を活用した効率的なゲンゴロウブナの種苗生産放流事業を平成30年度から県の委託を受けて実施することになりました。

この種苗生産放流事業では、かつてゲンゴロウブナの大産卵場であった早崎内湖の周辺水田及び近年アオコの発生が多い西の湖の周辺水田で2から3cmの稚魚に育てます。その後は、水田水路を通じて琵琶湖(西の湖)へ放流してゲンゴロウブナ資源を回復させることで、多種多様なプランクトンによる安定した魚介類の餌環境、生息環境の確保に少しでも貢献できると考えております。

ゲンゴロウブナ稚魚の水田放流

ゲンゴロウブナの親魚の飼育と採卵

ゲンゴロウブナの親

琵琶湖栽培漁業センターでは採卵に必要な主に3才以上の親を飼育しています(親魚の写真は滋賀県水産試験場提供)。

ゲンゴロウブナの採卵

ゲンゴロウブナはニゴロブナ、ホンモロコとほぼ同じ産卵生態です。5月下旬に飼育池に人工藻を浮かべて、自然に産卵させています。

ゲンゴロウブナの卵

卵は直径約1㎜程度で粘着性の強い沈性卵です。水温20℃では約5日ほどでふ化します。

ゲンゴロウブナのふ化仔魚

産まれたばかりの魚をふ化仔魚と言います。長さは約6mmです。

ここからの育て方は、

    田植えの終わった水田に放流する。(これを水田放流と言ってます。)

水田放流

琵琶湖栽培漁業センターからふ化仔魚を田植えの終わった水田に放流します。
ビニール袋のなかにふ化仔魚がはいってます。1反に3万尾から4万尾放します。

水田の水を水路へ流す中干しのときに、2から3cmに育った稚魚は水路から琵琶湖に出て行きます。写真は魚の数を数えるために網で受けているところです。数えないときは、網で受けません。

水田から流下した2から3cmに育ったゲンゴロウブナの稚魚(流下調査時)。水田水路へ放流。