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ニゴロブナ

ニゴロブナは琵琶湖だけにいる、琵琶湖固有種のフナで、「ふな鮨」に加工されてます。滋賀県の伝統食品です。特に春先の子持ちのニゴロブナは高値がつきます。
ふな鮨は、塩漬けにしたフナを夏の土用に飯に漬け、発酵させたものです。漬物のような食べ物ですので家庭によって味が違いますが、上手に漬かると、少し酸っぱいヨーグルトのような、クセのあるチーズのような深い味わいを楽しめます。家庭によっては強烈な匂いと味を「楽しめ」ます。
なお、ふな鮨の漬け方(pdf)を公開してます。興味のある方はご覧ください。

ニゴロブナ漁獲量

1988年(昭和63年)から2022年(令和4年)までのニゴロブナの漁獲量(農林水産省)のグラフです。その漁獲量は、1980年代後半頃から減り始め、2000(平成12)年〜2017(平成29)年まで、その他のフナと合わせて100トン前後で安定して推移していましたが、ここ近年(2018[平成30]年〜2019[令和元]年)では60トン台ほどで、漸減傾向でありました。2020(令和2)年〜2022(令和4)年には、65~77トンの間で推移しております。

オスはメスに比べてずいぶん安いので、オスを買ってふな鮨にするのもいいと思います。

琵琶湖の漁業や漁獲量など詳しいことは滋賀県水産課を御覧ください。ほかに、滋賀県琵琶湖博物館のページもあります。

ニゴロブナの飼育と放流

親の飼育と採卵

ニゴロブナの親

琵琶湖栽培漁業センターでは採卵に必要な親を飼育しています。ニゴロブナの親魚は丈夫で病気で死ぬことはほとんどありません。5才、6才の親魚もたくさんいます。

ニゴロブナの卵

4月の中頃から採卵をはじめます。親魚を飼育している水槽に人工の藻を水面に浮かべておくと寄ってきて、それに卵を産み付けます。ニゴロブナの卵は直径1mmくらいです。卵は産み出されるとすぐキンランにくっつきます。透明ですが、少し黄色です。
写真に白い卵が見えますが、死んでいる卵です。

卵は1週間くらいでふ化します。産まれたばかりの魚をふ化仔魚と言います。長さは約6mmです。

ここからの育て方は、

  1. 田植えの終わった水田に放流する。(これを水田放流と言ってます。)
  2. 栽培漁業センターと湖上の筏の2か所で1尾20グラムほどまで飼育してから放流する。
の二つに分かれます。

水田放流

琵琶湖栽培漁業センターからふ化仔魚を田植えの終わった水田に放流します。
ビニール袋のなかにふ化仔魚がはいってます。1反に3万尾から4万尾放します。

水田の水を水路へ流す中干しのときに、2から3cmに育った稚魚は水路から琵琶湖に出て行きます。写真は魚の数を数えるために網で受けているところです。数えないときは、網で受けません。

琵琶湖栽培漁業センターと湖上の筏の飼育、放流

琵琶湖栽培漁業センターです。
草津市の琵琶湖岸にある筏です。
ふ化してから10日くらいまではワムシやミジンコなど天然のプランクトンを与えて大きくします。その後、人工飼料(金魚のえさのようなもの)を与えながら40〜50日くらい飼育すると長さが約2cmになります。
10月ころまで育てると、写真のような約20グラムの大きさになります。
そのころから琵琶湖に放流します。20グラムの魚は生産コストは高くなりますが、効果は大きくなります。令和5年度には約100万尾を放流しています。
写真はトラックの水槽からニゴロブナを琵琶湖に流しているところです。

ニゴロブナの標識調査

ニゴロブナの年度別放流尾数及び混獲率の推移

漁師さん達が琵琶湖から捕ってきたニゴロブナに放流前につけた標識が付いているか、付いていたらどんな標識かを調べます。

こうして調べた結果を割合で表します。この割合を「混獲率」といっています。例えば、100尾を調べて、そのうち10尾が標識魚ならば、混獲率は10%です。

標識調査(北湖)は1992(平成4)年度から毎年度2~3月の冬季に行っています。標識調査を行う前はふ化仔魚を多く放流していましたが、標識調査の結果、ふ化仔魚よりも2cm、20グラムサイズの効果が高いことが分かり、1993(平成5)年度から放流サイズを2cm、20グラムに変えています。

混獲率(北湖)は、2007(平成19)年度には約80%を越えました(上図)。5尾のうち4尾が放流魚ということです。

混獲率(北湖)は、2011(平成23)年度まで約70%以上と高い年が続きましたが、その後は減少し、2013(平成25)年度〜2022(令和4)年度までは、約30〜約50%の間で推移し事業効果としては、ほぼ安定した傾向にあります(上図)。

放流量はほぼ変わってないのに混獲率が下がったのは、天然で生まれ育ったニゴロブナが増えてきたからと思われます。

また、南湖の標識調査も、2014(平成26)年度から毎年度3~5(6)月の春先に行っています。その南湖の混獲率は、2014(平成26)年度〜2023(令和5)年度まで34.8〜79.6%の間にあり、10か年の平均値は61.7%で、北湖よりも放流魚の割合が高いといえます(上図)。

2012(平成24)年度までの調査の結果は、報告書にまとめています。