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ホンモロコ

ホンモロコは琵琶湖・淀川水系に分布するコイ科の淡水魚で、琵琶湖固有種ですが、現在では各地の湖沼などで養殖されています。成魚は全長5~10㎝、体重2~14g、1年で成熟します。10gの雌は約2,000粒の卵を持っています。天然では3~6月に湖岸の浅瀬に来遊し主に柳の根、水草などに産卵しますが、砂や小砂利に産む場合もあります。素焼き・飴だきとして最も美味な魚です。

琵琶湖の漁業や漁獲量など詳しいことは滋賀県水産課を御覧ください。ほかに、滋賀県琵琶湖博物館のページもあります。

ホンモロのコ飼育と放流

卵を産む親を飼育します。ホンモロコは1年で産卵できるようになり、2〜3年生きますが、ニゴロブナほど丈夫ではないので、産卵後に死ぬものが多く、1年で半分くらいに減ってしまいます。

4月の中頃から採卵をはじめます。親魚の水槽に人工の藻を水面に浮かべておくとそこに寄ってきて、卵を産み付けます。ホンモロコの卵は産み出されるとすぐ「キンラン」にくっつきます。直径1mmくらいです。ニゴロブナと似ていますが、ニゴロブナより少し小さく、透明です。
写真に白い卵が見えますが、死んでいる卵です。

卵は1週間くらいでふ化します。産まれたばかりの魚をふ化仔魚と言います。長さは約5mmです。

ここからの育て方は、

  1. 田植えの終わった水田に放流する。(これを水田放流と言ってます。)
  2. 湖上の筏で長さ2cmになるまで飼育してから放流する。
の二つに分かれます。

水田放流

琵琶湖栽培漁業センターからふ化仔魚を田植えの終わった水田に放流します。
ビニール袋のなかにふ化仔魚がはいってます。1反に3万尾から4万尾放します。

水田の水を水路へ流す中干しのときに、2から3cmに育った稚魚は水路から琵琶湖に出て行きます。写真は魚の数を数えるために網で受けているところです。数えないときは、網で受けません。

2cmまで飼育

ふ化してから15日くらい(長さ約1cm)まではワムシやミジンコなど天然のプランクトンを与えて大きくします。その後、人工飼料(金魚のえさのようなもの)を与えながら2ヶ月くらい飼育すると長さ2cmのホンモロコになります。この間は、毎日、餌を与えます。

2cmになったら、琵琶湖に放流します。平成30年度は約100万尾を放流しました。

なお、飼育は草津市に設置した筏でしています。

飼育の結果は報告書にまとめています。

ホンモロコの放流事業の効果

ホンモロコの漁獲量(農林水産省)

事業目標は概ね毎年達成しており、ホンモロコの漁獲量(上図)は、2007~2010年(平成19~22年)まで7~10tで推移していましたが、2011年(平成23年)から増加に転じ、近年(2018[平成30]〜2022[令和4]年)では25~33トンと安定しています。しかし、ホンモロコの漁獲量としては、200トン前後で推移していた往時(1995[平成7]年以前)と比べれば、まだまだ低水準です。

このように漁獲量が増加し、安定してきたということは、2008~2011年度(平成20~23年度)まではふ化仔魚放流中心の事業展開でありましたが、標識調査の結果、放流効果が低いことが判明しましたので、2012年度(平成24年度)からニゴロブナ同様に、より放流効果の高い水田の生産力を利用した育成方法に事業転換し、水田で2~3㎝の稚魚に育ててから放流したことによる効果の表れであると考えております。